災害時に生じるストレスと言っても、災害そのものによって生じたストレス以外にも、避難生活やライフラインが切断された環境での生活など、二次的なストレスが生じる可能性もあります。本記事では、災害時に生じるストレスの原因や影響、対策などについて詳しく解説します。
関連記事には、具体的にストレス軽減の方法やグッツをまとめていますのでご覧下さい。
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【災害時のストレスの原因】
災害時に生じるストレスの原因は、以下のようなものが挙げられます。
- 環境:避難所での生活を強いられることになったりする場合があります。例を挙げると以下のようなものがありますが、『普段と違う流れ・場所』というだけでも、不眠、高血圧、頭痛、下痢・便秘などの消化器官症状を呈する場合があります。
- 自分の布団ではない
- 自宅のお風呂に入れない
- プライバシーが十分でない(見知らぬ人が直ぐ側にいる)
- 普段よりも早い(もしくは遅い)時間に、照明が消灯・点灯する
- いつものルーチンが出来ない(TVを見る、新聞を読む、散歩に行く…etc)
- 安全への不安:余震や津波などの危険、大雨の後の土砂災害、など安全が確保されていないという事実に対してストレスを感じている場合もあります。結果として、不眠、高血圧、頭痛などの症状が出現する場合があります。
- 通信や連絡の障害:家族や友人との連絡が取れなくなったり、避難所での情報伝達が不十分になることがあります。この状況は、周囲とのコミュニケーションが十分に取れないことで社会的孤立感が増し、抑うつ状態に繋がる場合があります。
- 衛生面の悪化:断水・停電などライフラインが切断された場合、日常的に利用しているものも使えなくなります。特にお風呂やトイレが自分のタイミングや時間で使用できない場合も多いです。性別・年齢によっても異なりますが、衛生面の悪化がもたらす心的ストレスが原因の免疫低下と、衛生面悪化による雑菌の繁殖は、風邪や尿路感染症などのリスクを増加させる場合があります。
- 過去のトラウマ:PTSDと呼ばれるものですが、以前に経験した内容が思い返されて強いストレスを生じるケースです。これは災害時でなくても、似た状況に置かれると過呼吸、睡眠障害、パニック障害などの症状を呈する場合があり、周囲の配慮も必要になります。
心理的ストレスが及ぼす身体的な影響
災害時の心的ストレスは、人間の身体、精神を過度に興奮させます。結果として、疲労感や筋疲労、精神的不調を来す場合があります。ここでは具体的にどのような症状が出現するのかについて見ていきましょう。
- 頭痛やめまい:ストレスが原因で、頭痛やめまいが生じることがあります。特に、緊張型頭痛やストレス性めまいが出現する場合があります。
- 消化器官の不調:胃痛、下痢、便秘などの、消化器官の不調が生じることがあります。
- 高血圧:緊張状態が続くことで、身体的緊張による血管収縮、ホルモンバランスの変化等が影響し、高血圧になる場合があります。
- 免疫力低下:強いストレス下に置かれると人間の免疫機能は低下することが知られています。また衛生面が悪化しやすい状況と組合わさり、災害時では感染症リスクが高まる場合があります。
- 睡眠障害:災害による不安、環境の変化(自宅ではない、生活リズムが変わる)によって、過度な興奮状態が継続し、睡眠障害を呈する場合があります。
- 脱水症状:ストレス下に置かれると、呼吸数・発汗量の増加、水分摂取量の低下が出現します。そもそも非常時には水分を摂るという意識が難しい場合や、水分が手元にないという可能性もあります。結果として脱水症状になり、体温の上昇や頭痛、めまいと言った症状を呈する場合があります。
災害時の心的ストレスへの対策
災害時に、『心的ストレスを受けない』ということは困難であることは、皆さん想像に固くないと思います。しかし少しでも軽減する、または長期間にならない方法について確認したいと思います。
- 情報収集:正確な情報収集は、不安を軽減に有効です。しかし、過剰な情報収集は逆に不安を煽る場合もあります。ラジオ、自治体・国の情報サイトなど、情報収集先の基準を決めておくことで過度な情報収集にならず、適切な情報収集につながります。
- 適切なコミュニケーション:ストレスを軽減するために、家族や友人と気持ちを共有します。言語化して表出することで、心的ストレスの発散につながります。
- リラックス法の実践:ストレスを軽減するために、リラックス法を実践することが有効です。瞑想、深呼吸、ヨガなどのリラックス法を取り入れることで、心身の緊張を軽減します。家族や友人が近くにいる場合は、互いにマッサージをしたりするなどしても良いです。*1
- 睡眠の改善:災害時の睡眠は、ストレスや疲労の軽減のためには重要です。自宅とことなり、避難所では、騒音、照明、寝具が日常と異なります。アイマスクや耳栓、簡易マットや寝袋、貴重品管理バックなどを活用して、十分な睡眠を取ることが重要です。
- 心理カウンセリングの受診:家族・友人とのコミュニケーションだけでは、引き出したり処理しきれない不安感を表出させることが可能です。何を今不安と感じているのか?なにがストレスの原因になっているのか?どのように受け止めればいいのか?など、アドバイスをもらい心的ストレスの軽減につなげます。
*1:疾患によっては、脚や腕のマッサージが禁忌になっている場合もあります。事前にかかりつけ医に確認しておくことをオススメします。
まとめ
如何だったでしょうか?
災害時の心的ストレスは、様々な身体的不調に繋がる場合があります。災害を避けることは難しいですが事前に備え『災害にあったけど、あれがあったはず!』『これをやっておけば大丈夫かも!』と安心材料になる情報を持っておきたいですね。
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